千葉市新規事業創出支援事業が始まりました。

 本事業は、「コロナ禍における市内中小企業の事業成長を促進するため、専門スキルを有するプロ人材のノウハウを活用した新商品開発、新規市場展開、DX推進を支援(千葉市HPより)」ですが、これを知ったきっかけは2020年に千葉市のHPで偶然発見したことでした。脱一社下請の社内号令を掛け顧客の複数化は達成したものの、「で、自分は今後どうしたいのか?」という迷いがある中で、かつて自分が副業として中小企業を支援したように、プロ人材から気付きをえられるのでは?と漠然と思っていました。
 その後、2021年4月に「事業再構築補助金」が公表されました。新たな新規事業に踏み出すにあたり、補助金審査というハードルと締切は、自分の中で格好の目標でした。以前から温めていた腹案を事業化すべく検討しましたが、当社本業との相乗効果が見込めないうえに、収支上も無理がありました。当初は採択された事業再構築補助金のプロジェクトマネージャーとしてプロ人材を招聘しようともくろんでいましたがこれを諦め、替わりに新規事業の芽を一緒に探してくれる方をお願いすることにしました。そして8月から行われた書類審査では新規事業として上記と別案の例示にとどめ、Webプレゼン審査では現状分析と検討課題の明確化をアピールしたところ、10月に採択が発表されました。

初めてのwebプレゼン、持ち時間15分

初めてのwebプレゼン、持ち時間15分

 本支援事業の具体的な内容は、①副業支援サイト「SkillSift」への掲載代行、②プロジェクトの進捗管理です。副業支援サイトは今回初めて知りました。私自身の副業は、個人的に紹介を受けた会社のみでお手伝いしていたので、隔世の感があります。
 今回や昨年の採択者を見ると、新製品やサービスを開発したうえで、その販売戦略の検討を依頼しているようです。その点、当社のような「新たな事業をやりたい」というだけの零細企業に応募があるのか疑問でした。ところが、掲載開始数日で10名を超える応募があり、面食らいました。工事担当者の求人とは比べ物になりません。普段選ぶ立場にないため書類選考で落とすこともできず、一旦締め切ったうえで応募者全員と来社またはwebで面談を行いました。
 結局、面接は三次まで行いました。一次面接では募集主旨の理解を確かめ、二次面接では当社の現状理解と事業戦略策定の課題を確認しました。そこで最終の三次面接では当社メンバーとの相性を考え、勤続20年の取締役皆川さんに選考を一任し、2名にお願いすることとしました。

当社依頼の「プロ人材」

当社依頼の「プロ人材」

 皆川さんは、当社入社時のキャリアプランとしては「電気工事屋としていずれは独立」を目指していたそうですが、いざ入社してみると、当社は電気工事業とは似て非なる機械警備工事業者であり、ここでの独立は前例もほぼなく無理であることに早々に気づいたそうです。それからは淡々と業務をこなす日々が続いていたとのことですが、父が病に倒れて私が当社に入り、眠っていたやる気スイッチが入りました。半世紀に及ぶ一社下請ゆえの保守的な社風の中で私が連発する新規取引先開拓社内改革(=ムチャ振り)の主旨を理解し、年功序列が厳しい職人集団にあって率先して先輩後輩を巻き込んでいきました。「あしたのチーム」による目標管理制度を始めた2017年には自ら管理者として立候補し、現在は人事評価も担当しています。minakawa

 そして今回、新規事業創出支援事業を主導してもらうことにより、会社そのものが新たなステージに向かう態勢が整いつつあります。新年早々に行ったキックオフセッションでは、皆川さん自らがスカウトした転職者も同席させてプロジェクトの方向性を確認しました。まずは教科書通り経営理念についての検討から入りますが、父の代から「そんなものねえ!」で押し通して来た当社として、これに正面から向き合うことはやはり苦痛です。そこで、10年後の未来を見据えて「当社の何が世の中に役立ち、自分たちが楽しめるか」を考えること自体が、新たなステージに入ったと実感しています。

 私自身にとっては、本プロジェクト一番の収穫は、「事業の執行は当社に愛着のある人間がすべきである」という当たり前に気づいたことでしょうか。父の不機嫌そうな姿ばかりが幼少の記憶に残り、また自分自身のキャリアを惜しむ意識がどうしても残っているためか「現状否定が度を過ぎる」と母から小言をもらっています。それに比べ、一段と楽しそうに業務に取り組む皆川さんを見ていると「親族内承継により入社した私の使命は、社内での正統後継者の発掘と育成を行ったうえでの大政奉還」とさえ感じています。
 一方、応募いただいた方との面談の中では、個人的な叱咤激励も多くいただきました。前職までの知見、自脈をもっと活かすべきと言われ、大出世したサラリーマン時代の上司にも思い切って連絡してみました。中でも、東急不動産岡田正志社長は「ヴィソラ(現みのおキューズモール)」開発時代の上司ですが、20年ぶりにアポを取り社長室を訪ねました。「偉くなりすぎて気後れした」と言ったら「何を遠慮してるの。もっと厚かましくならないと!」大笑いされました。
 なお、二次面接で私が例示した個別新規事業案に共鳴いただいた候補者の方とは、個人プロジェクトとして別途その具体化に向けての検討を継続します。私自身の強みを活かすべく、副業中小企業診断士としての再始動です。