今冬、千葉商工会議所から会員企業向けに2件続けて新規スポーツ競技の無料招待案内が来ました。スポーツ観戦が趣味の私としては、一も二もなく観戦を申し込みました。

千葉アルティーリ

 2021年に千葉市で設立されたプロバスケットボールチームで、今シーズンからB3リーグに参加しています。企業などの母体チームがないながらも目標を「優勝&2年でB1昇格」と高く掲げています。また、オフコートの企業活動も盛んで、早速2021年度の景観広告部門で「千葉市都市文化賞2021」優秀賞を受賞しています。
 といいながら、恥ずかしながら今回の案内で初めてその存在を知りました。そういえば、毎日通勤時に見かけるラッピングバスもアルティーリでした。

”Altiri Chiba” ラッピングバス

”Altiri Chiba” ラッピングバス


 何となく「新築マンションの宣伝?」程度の認識でこのバスを見ていました。認知度の向上はやはり難しいですね。
 また、千葉市としても全面的にアルティーリをバックアップしています。千葉県内には昨シーズンB1リーグを制した強豪千葉ジェッツふなばしが既にありますが、本拠地は船橋市。準本拠地となる千葉市ポートアリーナでのホームゲームは年間数試合です。昨年までは千葉市役所とモノレール市役所前駅とをつなぐペデストリアンに選手の幟がありましたが、今年はありません。

 さて、いざ観戦。申込に際し家族に声を掛けたところ中学生の次男が応じてくれたので、自転車で一緒にポートアリーナに向かいました。なお、偶然にも3日前に同じ会場で今シーズン唯一の千葉ジェッツのB1リーグ戦が行われ、高校水球部の後輩でもある当社顧問弁護士に誘われて観戦していました。その直後のB3リーグ。競技、運営など最上位リーグとの差が目に付くかと思いましたが、それぞれ演出も素晴らしくオープニングイベントから盛り上がります。

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オープニングセレモニー 上B1/下B3 オープニングセレモニー 上B1/下B3


 当日のスタッツを見ると3pシュート決定率も5割近くを記録するなど、素人目ながら「さすがプロチーム」。次男も楽しかったようで、翌日の試合も観戦に行きました。
 また、後日チーム設立の経緯を読み、経営者として「志があれば周りが応援してくれる」「目標が立てばそれに向かって頑張れる」ことを目の当たりにしました。これをただ「すごい」と傍観するだけではなく、自分でも動かないと。千葉市から新規事業創出支援事業に採択された重みを改めて感じました。

PIST6

 昨年当社が施工現場として関わった千葉公園JPFドームが、10月にネーミングライツによりTIPSTAR DOME CHIBAとしてオープンしました。1周250mの国際競技規格のバンク(自転車競技場)で、新しい競輪PIST6が行われます。
 これまでの競輪場は1周333、400、500mの3種類ありますが、旧千葉競輪場はその中でも追い込みが有利な500mバンクの長走路でした。競輪では風の抵抗が大きく影響するため原則として先頭誘導員が途中まで先導しますが、その上で、同郷の若手が「ライン」の先行として風除けを担い、後続する先輩が別のラインをブロックするなど「チーム戦」が行われます(以上、講談社モーニングで30年前連載の「ギャンブルレーサー」受け売り知識)。

在りし日の千葉競輪とライン戦 ギャンブルレーサー18巻より ©田中誠 講談社モーニングKC

在りし日の千葉競輪とライン戦
ギャンブルレーサー18巻より
©田中誠 講談社モーニングKC


 一方、オリンピック種目の「ケイリン」など国際レースやPIST6ではこれを禁じています。また、通常競輪の原則9車立てに対しPIST6ではその名の通り6車立てとなるなど、選手にとっては全くの別種目と言えるかもしれません。さらに、競技運営面でも選手は実力別のクラス分けがなく、また1日2レース走るなどこれまでとは大きく異なり、しかもこれは全国でもここだけです。偶然にも私の中学水泳部の同期が競輪運営側で働いていますが、以前話を聞いたところでは、果たして異なるルールでも選手が参加してくれるか心配していました。
 観客側も、これまでの競輪観戦とは全く異なります。まず、100円だった入場料が2,000円となり、販売方式もインターネットを通じた事前予約のみで当日券の販売はありませせん。また、昼夜完全入替制で観戦できるのは各6レースのみです。さらに、車券の購入はwebサービス「TIPSTAR」のみで、場内に車券売場はありません。このように、「ギャンブル」から「スポーツ観戦」と来場目的が完全に変わります。プロスポーツとして野球(千葉ロッテ)やサッカー(ジェフ千葉)と同じ感覚でケイリン(pist6)観戦が千葉市で成り立つか、全国的に競輪場の廃止が相次ぐ中での試金石となることでしょう。その点、以前ネットでJPF社長のインタビュー記事を見かけました。千葉には挑戦者が沢山います!

 さて、今回は「父の仕事見学」の名目で家族4名を動員し、自動車で日曜夜の決勝戦に向かいました。駐車場では屋外照明が、建物内では防犯センサーやカメラなど当社作品がお出迎えする中、はやる気持ちを抑えて人数制限がかかる観客席に到着。飲食店ではオレンジピザ等SNS映えを狙った商品が並び、アパレルなどのpist6グッズもお土産に並びます。

名物「オレンジピザ」

名物「オレンジピザ」

 そして開演。オープニングセレモニー、PIST6DANCERS(PSD)が華を添える選手入場など、Bリーグにも負けないド派手な演出です。

選手入場 3枠は赤

選手入場 3枠は赤 アリーナにはPSD


 また、レースもさすがの迫力。地下通路を通じてバンクにも入れ、時速70kmを間近で体感できます。

 そこでふと上を見上げると、大ビジョンとそのメンテナンスのためのキャットウォークが目に入りました。これが、施工中に工事担当者から聞いた「地上30mの現場」です。やっと現場確認ができました。
高さ30mのキャットウォークでカメラを設置

高さ30mのキャットウォークでカメラ設置工事


 レースを楽しむ中で、ふと「工事担当者も来場者の立場でこれを体感する必要があるのではないか」という思いがもたげてきました。私自身が、初職で「財布を開く『お客様(来場者)』が求めていることは何かを理解し、それを家賃をいただく『お客様(店舗運営者)』に提供する」というSCスキームを叩き込まれてきましが、その根底には、社長就任時には「放蕩息子」と呼ばれた(HPより)という五島昇元東急社長の「趣味に生きてそれを事業化する」という思想がありました。それに対し、プライベートを意識することなく朝から晩まで休みなく現場に入り、自分の仕事がどこで誰の役に立っているかを見る機会もない下請工事屋の現状は、やはりもどかしく感じてしまいます。

 これについて、現在進行中の千葉市新規事業創出支援事業における「プロ人材」からも同じ気付きをいただきました。家業承継し当社に入って「脱一社下請」を叫び続けながら、「下請が」「元請が」「家業が」「親が」と、自分自身の器がどんどん小さくなっています。新規事業とはこれを壊すことなのだと本支援事業を通じて思い至りました。

下請業者の新規事業開発フロー 社内報#075より

下請業者の新規事業開発フロー 社内報#075より


 ありがたいことに、この意識改革はプロ人材を通じて当社内で共有できつつあります。当社のミッションを見定めるためにも、工事担当者には実際にケイリン開催中に来場し、お客様が楽しむ様を自分の目で見て、そして何より自分自身で楽しんで(ギャンブル推奨ではありません)もらいたいと感じました。