1日かけて陸路東京から鹿児島県に到着し。いよいよマネジメントゲーム研修です。

 マネジメントゲーム(戦略MG)は、企業経営を疑似体験するもので、仕入、製造、販売(入札)、決算などを自分で行うことで総合的な経営感覚を身に着けるものです。「ゲーム」らしく駆け引きは必要ですが、その前段階における経営資源配分など事業戦略、さらには原価計算や資金繰りなど、経営に必要な要素がおよそすべて盛り込まれています。さらに、ゲームの1ターンごとに決算も自分で電卓をたたいて行うため、文字通り決算数値を体得することが可能です。マネジメントゲームはソフトバンク社の幹部研修として行われていることで有名ですが、このほかにも全国至るところで行われており、我が地元の青色申告会からも定期的に案内が届きます。

 私自身はサラリーマンの新卒4年目に社内研修として、さらに中小企業大学校の経営後継者研修でも受講しました。内容は同じでしたが、後継者コースはやはり経営者らしく「勝負師」が多く、勝利への執念が違いました。丁度私が大学校で学んだ年はSARSの流行で予定されていた中国視察が中止となりましたが、代替として生徒からのリクエストにより異例の2回目を行うほどの人気でした。

 大学校では、BMネットワークの高橋茂人先生にお世話になりました。髙橋先生は1976年からマネジメントゲームの開発、普及に携わっている第一人者で、上記ソフトバンク孫正義社長も教え子とのこと。当時授業の最後にいただいた締めの言葉

「価格はマーケットが決める」

は、私にとって中小企業診断士としても、企業経営者としても、最大の格言として刻み込まれています。大学校経営後継者コース修了後、私は家業も継がず10年以上サラリーマンを続けてきたはぐれ者ですが、高橋先生にはかわいがっていただいています。

 ところで、当社は私が事業承継する前の一社下請時代、工事請負価格はほぼ指し値(価格指定)で見積を作成する機会がなく、たまにあっても、特定のベテラン工事担当者のみが担当していました。それに対し、今は「一人が2社顧客を持つ」体制となり、全員が日常的に見積を作成します。そうなると当然ながら会社としてその品質管理が必要となりますが、一方で、各人が工夫するためには一定の自由度も必要です。さらに、発注各者には「見慣れた形式」もあり、当社でこれを指定することも現実的ではありません。
 理想の見積は、担当者が「価格はマーケットが決める」真理を理解し、その上で自らの権限と責任で作成、提出すること。そこで、今夏に全員参加の見積作成研修として髙橋先生にマネジメントゲームの指導をお願いしていました。
 しかしながら、ご存知の通りコロナ禍で研修会場が使えません。そのような中、髙橋先生から主宰する「自在塾」を鹿児島県霧島神宮で行うとのお声がけをいただきました。父の出身地での開催に奇縁を感じ、「まずは自分で」と鹿児島に乗り込んだ次第です。

 当日はお昼過ぎに会場入り。会場のきりしま月の舟は今年開店したブックカフェで、オーナー夫妻もゲームに参加です。また、企業経営者や大手企業の地元研究員など、多彩な顔ぶれでゲーム開始です。私自身18年ぶりのマネジメントゲームでしたが、皆さんも初めてとのことで、和気あいあいと始まりました。

マネジメントゲーム開始

マネジメントゲーム開始

 初日終了後、地元ピアニストの室谷麗華さん、声楽家の又吉のぞみさんによるミニコンサートも行われました。

ピアノ:室谷麗華 ボーカル:又吉のぞみ

ピアノ:室谷麗華 ボーカル:又吉のぞみ

お二方は鹿児島市内で音処「華音」というサロンも運営されています。また、食事は鹿児島市内のキッチン おんまとぺさんが出張で腕を振るい、さらに和歌山県の酒造メーカー中野BCの社長が参加されていたことから梅酒などの差入もあり、楽しいひと時を過ごしました。
和歌山名物「ミカン酎ハイ」

和歌山名物「ミカン酎ハイ」

私の父がたからべ森の学校前身の財部北中学校出身と自己紹介したところ、「今、ここを中心に財部が熱い!」とのこと。近隣に祖父の代から長らく耕作放棄地と化した相続土地があるので、「これを利用して何かできれば」と盛り上がりました。
当日は霧島神宮温泉に泊まり、翌日朝は霧島神宮および周辺を散策。当地は坂本龍馬が日本で初めて新婚旅行に訪れた土地と言われた場所です。私自身は改元10連休を利用して令和初日に参拝して以来ですが、地元の方に新しい渓谷散策路や知らない名所を案内していただきました。
8世紀溶岩流の先端

霧島ジオサイト 8世紀溶岩流の先端


そして研修2日目開始。1決算期を1時間弱行いますが、その後の決算業務は慣れないと中々数字が合いません。マネジメントゲームは通常2日で5決算期を行いますが、今回は入門編として2期で終了。私を含む遠方からの参加者は鹿児島空港まで車で送ってもらいました。

こうして3泊4日にわたる研修三昧の旅も無事終了。これから年末繁忙期に入りますが、ここで得たものを会社にどう還元するか、これからが本番です。