家業を継いだ当社は、当然ながら両親が創業者です。父は昨夏亡くなりましたが、母は健在です。経理業務は嫁に代替わりしましたが、電線等の在庫管理やごみ出しなど、こまごまと動いています。40年間以上「おかみさん」をやってきただけに色々良く気付きますが、その目は当然息子である私にも向かい、色々小言が始まり、そのまま親子げんかになだれ込むこともしばしばでした。父死去後は母も表立って口を出すことはしなくなりましたが、私にとっての事業承継は「一生、授業参観!」でもあります。
 そんな中、我が息子の通う小学校のセンサー設置工事の依頼を受けました。建設業に限らず学校相手に商売をする方は多々いらっしゃいますが、自分の子供の学校が現場になる機会はまずないでしょう。幸いにも、現場となる小学校はいつでも授業参観ウェルカムの方針。工事開始は放課後の15時ですが、前乗りして授業&現場参観に行ってきました。
 工事担当者のアドバイスもあり、当初はスーツに身分証明証という通常の現場巡視スタイルの予定でしたが、当日朝に息子が「お父さん、作業服で来て!」と意外にもコスプレのリクエスト。私が子供の時は自宅がそのまま仕事の日常で父の作業服は当たり前の光景でしたが、我が子にとっては親の工事姿はちょっとしたイベントのようでした。

DSC_3645

保護者モードで児童入口から


 というわけで、お昼休みに登校し午後の授業を参観してきました。放課後に仕事のはずの工事業者がなぜお昼時に?と怪しまれるかと思いましたが、知合いの先生方から「あ、いらっしゃいましたね!」と歓待を受けました。息子は担任の先生にも「今日、お父さんが来るかも」と話していたようです。せっかくなので、校長先生にもご挨拶。近年は小学生においてもキャリア教育は重要視されているとのことで、お父さんの働く姿を見せることについてお褒めの言葉をいただきました。
DSC_3646

放課後 業者側(現場)に移動


 授業は午後の5時間目。作業服を着たオジサンが授業参観しているる光景は小学生にどう映る?と思いきや、みんな先刻承知。そういえば普段我が家に遊びに来ている子供達でした。我が子が先生にあてられたときは、4,5人ほどが私を見て反応を楽しんでいました。帰りの挨拶後は、嫁アドバイスで持参した小道具レーザー距離測計で教室の幅の長さを計ってみせましたが、物知りなお友達「これ知ってる!光の波長で測るんでしょ!」と博識ぶりを披露していました。
DSC_3649

今日は「おもちゃ」のレーザー距離測計


 そして授業も終わり、靴と工事道具を保護者側から業者側に移動させて、15時から仕事開始。程なく当社の本職工事担当者と元請担当者も集合していざスタート。ところが、指示書や図面と現場実態が違っています。ここで保護者に戻って、施工場所とおそらく必要な作業内容を案内しました。これにより作業量も2人前となり、結局私も丸々作業に加わることとなりました。作業服で来たのは結果的に大正解でした。

 数十年後、私が当社を引退するときに我が子が承継することは全く考えてもなかったけど、3代目になるのも悪くないかも知れない。父もこんな気持ちで小学生当時の私を見ていたのかな? そんなことを思いながら、暗くなった通学路を徒歩で直帰させていただきました。