例年、この時期は閑散期。当社としてはこれを有効活用すべく、一昨年から決算を5月末日に変更しました。従前は2月末日決算で、材料棚卸をはじめとする決算業務を最繁忙期の3月に行っていました。といっても、工事担当者は当然ながら現場作業に忙殺されるため、母が独り資材倉庫内の在庫を集計していました。創業期から続けている恒例行事で、以前は母が自ら発注業務を行っていたこともあり、在庫状況も大体頭に入っていたようです。しかしながら、取扱品目の拡大に応じて発注業務をパートさんに移譲し、その後父の介護が始まり、古希を過ぎ、さすがに厳しくなってきました。

 とは言え、私が母と同じことはできないので、作業車内の材料在庫および工具は、各使用者が管理する方法に変更しました。これにより社内在庫が金額ベースで「見える化」されました。また、棚卸済み材料には年度を表す色シールを貼ることで、長期滞留在庫を洗い出しました。電設資材も地味ながらモデルチェンジがあり、死蔵在庫と化したものも多くあります。今回シールが3つ貼られたものは、最低でも2年以上倉庫に滞留していたことになります。
 そして今年、大きな進歩がありました! 昨年までは6月初旬に健康診断を設定し、帰社後に社内棚卸業務を行うようスケジュールを指定していました。ところが、今年はリーダーが率先して棚卸を声掛けし、また、古い資材や道具類の断捨離を行っています。会社が自律的に回り出しました。
 今回の倉庫整理の中で、古いVCT(Vinyl CabTire)ケーブルが発掘されました。以前は大型制御機器用としてしばしば使用していたようですが、近年は使用機会がありません。ちなみにケーブル記載の製造年は(2003)。今年高校卒の新入社員も整理業務に参加していましたが、ケーブルを見て「自分の2コ下」とつぶやいていました。

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VCT cable made in 2013

 これまで資材倉庫の整理を一手に引き受けていた母は、当然ながら現場作業は行わないため、各資材の要否について見極めがつきません。また、ものを捨てること自体に抵抗も感じていました。確かに、拡張を重ねた資材倉庫のスペースに余裕がある限り積極的に処分する必要はないかもしれません。母は岩手県北の農家出身ですが、古い農機具置場もこんな感じです。ところが、昨年父の遺品整理を機に行った大掃除で心境が変わったようです。母は自らの身辺整理も含めて「捨てないリスク」を実感したようで、私に対しても幼稚園からの思い出の品ついて引き払いを求めてきました。今度は我が家がガラクタ置場状態になりましたが、丁度下の子が小学校を卒業したタイミングであり、当時の教科書を処分しました。母は「まだ見ぬ孫たちの学習にいつか役立つ」と思い、押し入れの奥に40年眠らせていましたが、結局使わず終いでした。

40年前の小学校教科書:実家(本社)所蔵

40年前の小学校教科書:実家(本社)所蔵

 これまで「父ちゃん母ちゃん」の関係で行ってきた会社運営の形も大きく変わってきました。私自身も本質的に工事は門外漢であり、同じ「職人芸」を求められても困ります。今後どのようにすればよいか、これを来期の会社目標として皆で考えていければと思い、今期の締めの言葉といたします。