今年も確定申告期間が始まりました。

 テレビ番組では芸能人による申告の様子が取り上げられていますが、これは所得税。「サラリーマンも医療費控除やふるさと納税で税金を取り戻そう」など、書店でもこの時期様々な解説本が店頭に並びます。加えて、様々な確定申告用のソフトウェアが提供されていますが、最強は国税庁webサイトで提供される「確定申告作成コーナー」でしょう。私も2002年から使っていますが、自動計算や「お得な納税方式」の提案等、毎年繰り出される新機能にはただ驚かされます。しかも無料。大学学科同期のシステムエンジニアが公共事業として「中の人」を務めていましたが、「税金を正しく納めるためのツールを作るために税金を使う」ことに妙な納得感を持ちました。
 会計管理と言えば、前職クラウドITベンダー時代、私は固定資産パッケージの機能拡張を命じられました。時はIFRS(国際会計基準)導入前夜。資産除去債務など新たな論点も多く、頭を悩ませていました。
 その時点での私自身の会計実務経験と言えば、①鉄道会社の兼業事業としてのショッピングセンター会計、②アセットマネージャーとして受託者責任を負うSPC、信託などの不動産証券化ファンド会計、③家業手伝いの小規模建設業会計、④個人として中小企業診断士副業会計、などでしたが、それぞれ特有の基準、考え方や使用言語、そして自分自身の役割と守備範囲が違い、当事者として面白さと面倒さを感じていました。そんな中、⑤生命保険会社の不動産会計に社外コンサルタントとして関わることになりました。
 大手生命保険会社では、建物を「貸す」「自分で使う」「借りる」など様々なかかわり方があり、その数は全国津々浦々に数千棟、金額ベースで兆円単位に上ります。そこで使われる会計ルールも企業会計原則に加え保険業法、金融庁マニュアルなどで細かく規定され、勉強の連続でした。簿記の教科書で読んだだけの「減損会計」「税効果」等についても、担当者からリアルを学びました。
その中でも、償却資産税はこの時に初めて関わり、面食らいました。それまで償却資産とのかかわりは、①鉄道会社ではイベント設備等の固定資産計上まで(その後は財務部が担当)。②ファンドAMでは所有者の信託銀行が台帳を保管(内容はオリジネーター=原所有者のみぞ知る)。③④ではそもそも免税金額未満(資産は「職人の腕」1つ)で考えず、といった感じでした。
 償却資産税は、固定資産税(市町村税)の一種ですが、登記情報がある土地建物と異なり、毎年1月に自分で保有する償却資産を申告しなければなりません。また、その計算方法は決算(法人税)とも異なり、システム屋的には完全に別の計算システムを構築する必要があります。さらに、これらを市町村単位でバラバラに申告するために、⑤事務所にある机の移動などもシステムによる管理が求められ、面食らった記憶があります。担当する皆さんも、1月は償却資産台帳の現物照合から全国の市区町村への申告まで怒涛の1か月を送っていました。

 それから幾星霜。家業を継ぎ、このノウハウも記憶の奥に沈んでいました。ところが、父の代からお世話になっていた地元税理士が引退し、診断士として旧知の公認会計士事務所に昨年末に税務顧問をお願いしたところ、担当税理士の先生からこんな確認を受けました。

「あれ、償却資産税の申告はどうされています?」

 当社は免税点以下だからそもそも不要、と思いこんでいたのですが、正しくは免税点以下でも申告は必要であるとのことで、一応確認を求められました。しかも、千葉市の不法投棄賃貸カメラはリース品で当社資産。いつの間にか増えていたのです! 早速税理士に申告書を作成していただき、市税事務所に相談に行きました。千葉市では6つある行政区ごとに集計するとのことで、5年分遡及して計算してもらいましたが、税金は発生していませんでした。とは言え、今後も資産を移動させた場合には毎年申告が必要とのこと。当時の生保担当者の叫びが乗り移ってきました。

 今年1月1日時点では、当社設置の千葉市防犯カメラが全6区(中央、花見川、稲毛、若葉、緑、美浜)に設置されました。ということで、償却資産税も全区分を申告。新しい仕事には予想外の新しい事務作業がついてきますが、「全区制覇」はちょっといい気分です。

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