9月9日に千葉市付近に上陸した台風15号は、千葉県内に大きな爪痕を残しました。

 すでにニュースなどで多く報道されていますが、特に停電の被害は著しく、当初は11日とされていた千葉市内の完全復電も直近では「27日(本日)見込み」と延期が続きました。さらに、「停電に関する情報は幹線のみで、引込線については把握できず」とのことで、本日も東京電力パワーグリッドの作業車が近所を駆け回っています。幸いにして当社自体は昨年のような電話不通もなく、事務所パラペットが風で曲がっただけ(それでも大変)でしたが、ここから県道に通じる裏道は倒木が著しく、これら多数が電線にのしかかり、電柱をなぎ倒す光景が広がっていました。

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倒木 千葉市緑区


 この裏道沿いにある古くからの集落は長く停電が続き、東京電力の電源車がしばらく電源供給していたそうです。また、お隣の工場では自家発電による最低限の稼働を余儀なくされています。そこで、偶然当社側からの別系統受電だった水銀灯回路を延長して、停電中の電路と接続を切り替えて従業員食堂用に使いたいと依頼を受けました。東京電力に確認したところ問題ないとの回答を得たので電線工事を行いましたが、期せずして「災害に強い」二系統受電が成立しました。
緊急外線工事:鉄骨中はお客様設置

緊急外線工事:鉄骨中はお客様設置

 近隣も、バスの折返し場に至る小道がやはり倒木で通行止めとなり、迂回運転が2週間続きました。

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バス折返し場:通行止


 近所の別の工場からは、東京電力による電力復旧後も電気がつかないとのことでSOSを受けました。調査の結果、工場内の架空線切断や漏電が判明し、原因切り分けと応急処置を行いました。全面復旧は費用、工期とも見通しが立たないため、必要に応じて見積提出となりました。
 その他、区内のご家庭からもTVアンテナについて修理依頼をいただきましたが、受像は可能ということで、一旦は保留。翌日電話したところ他の手配が付いたとのことで事なきを得ました。

 工事関連では、週明けから千葉市不法投棄監視カメラの移設作業を予定していましたが、1日延期して10日から開始。ところが、外部応援業者は自宅損壊復旧でキャンセル、大卒内定者インターンは電車不通で到着できず、微力ながら私も作業に加わりました。作業自体は順調に終わりましたが、途中で市の道路管理課からの派遣された業者が同じ場所で倒木の撤去作業を行っていました。曰く「高圧電線にかかった倒木は東京電力の業者のみが対応可能」とのことで、当日はそれより下の倒木を伐採していました。

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カメラ移設工事と倒木撤去工事の競演


 高圧電線は非常に危険であり、その扱いには専用の特別教育受講も必要です。我々も電気工事業者ですが、電力会社(一次)側は扱えません。報道では復旧見通しの甘さに対する批判も散見されますが、高圧電線をなぎ倒す大木を撤去できるだけの知識、経験、資格を持った人間が日本にどれだけいるのでしょうか?「そんなに言うなら、自分でやってみろ!」に対する答えを持っていなければ、軽々に批判はできないと思うのですが。。

 このほか、当社関連では本店(実家)が3日間停電&瓦破損。社員宅も1週間停電が続いたため「福利厚生」として発電機の自宅使用するなど、いくつか被害が発生しました。私の自宅は損壊はありませんでしたが、子供たちは学校給食の牛乳が今なおストップ状態です。最初の一週間は「水分補給のため水筒持参」でしたが、長期化に伴い栄養面の観点から「給食は毎食チーズで代替」となっています。隣の学区の小学校は体育館の天井がすべてなくなりました。

 それ以上に、南房総の被害は甚大でした。現在準備を進めていたPDCE(落雷抑制避雷針)の設置先では保護対象の建物自体が全壊し、それどころではなくなっています。先週商工会議所から被害状況に関するアンケートが届きましたが、この営業機会損失も台風被害として計上されるそうです。

 最後になりましたが、この3週間「東北電力」「中電工」「九州電力」など、日本中から電力工事の作業車に集結いただきました。災害復旧に多大な支援をいただいたこと、千葉県民の一人として厚く御礼申し上げます。

ありがとう、東北電力!

ありがとう、東北電力!

追 続けて台風19号、20(温低)&21号が来るとは思いませんでした。。