9月末に電気自動車を買いました。サラリーマン時代から14年乗っていた中古のトヨタヴィッツ(初期型)がもらい事故に遭い廃車。以前より親や従業員からは「社長にふさわしい車」に乗るように促されていましたが、幼少時に父の運転する「はたらく車」で育った身としては、自家用車にカッコよさやステータスを全く感じません。廃車後の一時期は1日8往復の路線バスで通勤しましたが、公共交通(鉄道)会社出身者としてはこれも楽しいものでした。最寄バス停19時24分発駅行きの上り最終バスはいつもほぼ貸切状態で、運転手さんとも顔なじみになり「乗って地域貢献&CO2削減」と独り悦に入ってました。
とはいえ、業務都合もありいつまでもこの生活を続ける訳にも行きません。せっかくなので、電気工事屋として何かにこだわろう。そう思ったときに、電気自動車に思い至りました。
地球温暖化対策の切り札として、世界的に電気自動車への移行が報道されています。でも、その動力源となる電気はどう作られるのか。火力発電ならそこで二酸化炭素が発生し、太陽光や風力などの自然エネルギー発電でも設備自体が及ぼす自然破壊の影響は無視できず、トータルで見た場合に環境負荷低減効果がどの程度あるかは分かりません。とはいえ、現に電気自動車への移行が進むのであれば充電設備などのインフラ整備も必須になるはずで、電気工事屋としてここで首を突っ込まない手はありません。
そこで、東急での新入社員研修の講話を思い出しました。「故五島昇社長はモータリゼーションの進展を見越して一早く有料道路(箱根ターンパイク)やガソリンスタンド事業に進出したが、その根底には自分が思い描くライフスタイルの提供という理念があった。」当時、二子玉川のガソリンスタンド研修でひたすら高級外車の窓を拭いていた私にはピンときませんでしたが、四半世紀を経て合点がいきました。当社でも今こそ電気自動車を導入し、自分が使ってニーズを把握し、社会システム整備に役立とう!金額が4桁違う小さい話ですが、そう納得して購入を決断しました。
さて、電気自動車は補助金が充実しているとのこと。早速調べると経済産業省と環境省がそれぞれ補助事業を行っていました。補助金額は最大80万円で、車種により指定されています。ここで車好きならデザインやスペックなどで盛り上がるところでしょうが、あまり興味を持てない自分に気づきます。そこで、社内のアドバイスに従い、初めて自動車販売店に足を運び、販売員の方から話を聞くことにしました。
その結果、プラグインハイブリッド車などでない純然たる電気自動車で、かつ現場への資材搬送に耐え得る航続距離を条件としたところ、車種は日産リーフになりました。ちなみに、この過程で自宅近所にポルシェの電気自動車販売店があることを知り突撃しましたが、代金2000万円で納期半年以上とのこと。お金と余裕とこだわりのある方のみが立ち入ることができる世界であることを思い知りました。また、日産には複数の販売店系列があり、同一商品の販売でしのぎを削っていることも知りました。以前は販売車種が異なり客層の差別化もできていたそうですが、こだわりがない私にはピンときません。こんな感性でよく商業施設運営に携わってきたなと、我ながら呆れます。
自動車購入にあたっては、環境省の補助金を使用しました。再生可能エネルギーの100%使用が必須で報告義務を負います。父が生前資材倉庫屋上に設置した太陽光発電のFIT(固定価格買取制度)も期間満了したので、併せて契約を変更しました。また、充電設備も必要ですが、電気自動車を蓄電池として使うV2H(Vehicle to Home)を導入するか、また自宅、会社のどちらに設置するかは今後の検討課題です。自宅にはエネファーム(燃料電池)もあり、どちらでも機器構成的に電気工事で「遊ぶ」には十分です。展示会で電気工事屋の立場から機器メーカーの話を聞き、使用者、提供者としてイメージを膨らませます。といいながら、現在充電は付属の充電器を部屋内のエアコン用200Vコンセントにつないでいます。最近の建売住宅には屋外に専用コンセントが付いている場合も多いそうです。
なお、実際には充電ステーションを活用するユーザーも多いようです。自動車販売店や高速道路のSAPA、店舗駐車場等に設置が進んでいますが、利用にあたっては充電会員カードを作成する他、クレジットカードで都度引き落としもできるとのことで、一度現場視察のついでに使ってみました。 ちなみに、千葉市内では千葉県庁と千葉市清掃工場2カ所で無料充電も可能です。
最後に、当社が設置した電気自動車充電器のある江戸川区のマンションまでご挨拶に伺いました。施主様曰く、自家用車が元気で電気自動車への買替えの機会を逸したとのことで、試運転の名の下にもらい電気。旧交を温めながら正常稼働を確認しました。