8月上旬、当社の主要仕入れ先であるカメラメーカーの株式会社プロテック様から、取引先便りの「号外」が届きました。地元広島県で開催されるサイクリングしまなみ2022に協賛し防犯カメラを提供するとのことで、スポンサー枠での参加者募集とのこと。私自身、2000年グランベリーモール開業後に一人で、2001年結婚後に妻と、そして今年のGWには次男を連れてと3回今治→尾道を走破経験があります。誰も希望者がいなければ自分で行こうと思い、とり急ぎ参加者未定で応募したところ、見事に当選。そして社内で参加希望者は現れず、ありがたくも自ら参加することにしました。同社社長も参加するとのことで、これはまさしく接待サイクリング!
 「サイクリングしまなみ」は、瀬戸内海を渡り広島県尾道市と愛媛県今治市とを結ぶしまなみ海道70kmで行われるファンライドです。2014年から隔年で高速自動車道路を閉鎖しますが、一昨年はコロナ禍中止のため4年ぶりの開催とのことです。公式サイトを見ると、8コース7,000名の募集枠が早々に締め切られていました。また、付近の宿も満室で、レンタサイクルも予約受付終了。折しも全国旅行支援が始まり、人出も復活しているようです。慌てて宿とレンタサイクルの手配に奔走するうちに妄想が膨らみ、秋休みとして中国地方片道切符の旅を敢行することにしました。

10月25日(火)

 羽田から昼過ぎに空路関西空港から入りました。空港自体は何度か利用したことがありますが、設備屋目線での見どころを本職に問い合わせたところ、空調ダクトとエキスパンションジョイントに特徴があるそうです。JR空港快速を待つ間にこれを軽く見学してから、最初の訪問地として阪南大学の池澤威郎准教授を訪ねました。

阪南大学池澤准教授とは同い年

阪南大学池澤准教授とは同い年


 池澤さんは高島屋出身で、名古屋でタカシマヤゲートタワーモールの開発を担当された後、大学教員に転じ今年から同大学に赴任されました。知り合ったきっかけは、名古屋でファシリティマネージメントに取り組む中で東急の同期から電気工事屋として紹介されました。その頃私は事業承継したばかりで、振れ幅の大きいキャリアチェンジとそれを裏打ちする保有資格にも興味を持たれたそうです。これについて、私は当時も今も資格取得に苦戦し、また資格取得自体が目的化しているのではと悩んでいますが、池澤さんからは「それでいいのでは? その組み合わせの中から新たな知恵が生まれる」というエールをいただきました。
 帰りがけ、大学最寄の河内天美駅前でプロテック社の防犯カメラを発見。夜は大阪市内でお世話になっている上記資格の講師陣と会食し、東急ホテルズのヴィアーレ大阪に泊りました。3月末で営業終了とのことです。
近鉄南大阪線河内天美駅前の防犯カメラ

近鉄南大阪線河内天美駅前の防犯カメラ

10月26日(水)

 本日は「乗り鉄」の日。報道で廃止が取りざたされている中国地方の超閑散路線に乗りに行きます。中学時代、近所の公民館図書室で借りた最長片道切符の旅(宮脇俊三著)を読んで衝撃を受け、自分もやってみようと卒業時に初めての一人旅として国鉄山陰ワイド周遊券で「乗り鉄」しました。また、単行本は実際に使われた途中下車印まみれの片道切符が表紙に飾っていましたが、以後鉄道旅行の際には友人改札を通り途中下車印をもらい、切符は記念にもらって帰るようになりました。

今回使用の片道乗車券と36年前の周遊券

今回使用の片道乗車券と36年前の周遊券


 まずは大阪駅から新快速で姫路駅まで行き、姫新線に乗り換えます。姫新線は姫路駅から新見駅まで全長158kmありますが、直通する電車はなく、途中の播磨新宮駅、佐用駅と小一時間ごとに乗換が必要です。佐用といえば、鹿児島にある父実家への車帰省途中の中国自動車道のインターとして名前を見かけた記憶はありますが、町自体のイメージは思い浮かびません。ジビエが名物のようで駅には飲食マップもありましたが、当日は4店すべてがお休み(定休、臨時休業)でした。そのまま姫新線を西進し東津山駅で因美線に、更に智頭駅で乗り換えて鳥取着。ここで特急「スーパーまつかぜ」に乗り換え大田市まで行き、ゲストハウスに泊りました。

10月27日(木)

 朝一のバスで世界遺産石見銀山へ。街並み自体も世界文化遺産に登録されているとのことで展望台に上りましたが、

世界遺産石見銀山の街並みが見えたはず

世界遺産石見銀山の街並みが見えたはず


杉の木が伸びて眺望が遮られるという「観光地あるある」状態でした。気を取り直してレンタサイクルで街並や間歩(まぶ)と呼ばれる坑道を見学。その後、バス便の都合でタクシーで最寄の仁摩駅に出て、短時間ながら仁摩サンドミュージアムを見学。そして山陰線で宍道駅から木次線に乗り換え、出雲三成駅で下車しました。ここで奥出雲おろち号と列車交換が行われるようです。
 出雲三成には思い出の地、景勝鬼の舌震があります。
この景色は覚えている!

この景色は覚えている!


 中学時代、予備知識のないまま木次線に乗り、ガイドブックを見てふらっと立ち寄りました。出雲三成駅でレンタサイクルを借り、山道を駆け上り独り渓谷を見ただけでしたが、帰りの下り坂で転倒し腹部を擦過してしましました。そこで厚かましくも沿道の家に駆け込み手当てをしてもらったことが印象に残っています。今回、改めてレンタサイクルを借りて再訪したところ、道路は整備され快適に往復できましたが、どこで転んだかは思い出せませんでした。なお、当地の宿は奥出雲サイクリングターミナル。木次線と並行して国道が整備されてから自転車ツーリングも盛んとのことで、良いウォーミングアップができました。

10月28日(金)

 出雲三成駅から朝一の木次線に乗車。通学生でごった返していますが、終点の出雲横田駅で全員下車。

地域の中心駅 出雲横田

地域の中心駅 出雲横田


 ここから先はイベント列車「奥出雲おろち号」を含めても1日4往復しか列車が走らない日本屈指の超閑散区間で、私を含め2名しか乗っていません。途中、出雲坂根駅で下車します。BSよしもとでテレビ番組「ジュニア伺う」の6月放送回で、全国でも2つしかないというZ形スイッチバックがあると紹介された駅です。そして鉄道利用促進のため当地で9月から11月まで「鉄道マンガ展」が開催されるとのことで、今回の裏主目的地です。ところが、いざ到着すると会場はさらに先の道の駅併設奥出雲鉄の美術館であることが判明。丁度コミュニティバスが来たのでこれに乗り、会場に到着しました。DSC_0291
 会場に入ると、「さっき出雲坂根で下りた方ですね」と声を掛けられました。鉄道マンガ展主催者の江上英樹さんです。
マンガ編集車兼スイッチバック評論家 江上英樹さんと

マンガ編集車兼スイッチバック評論家 江上英樹さんと


 江上さんは出雲横田駅から木次線に同乗されたとのことで、出雲坂根より一駅先の三井野原駅は道の駅の最寄りでそこから歩いて通勤されているそうです。そういえば、当該区間唯一の通勤定期利用客としてもweb記事で取り上げられていました。早速目玉企画の出雲坂根駅ジオラマで鉄道模型を動かしてもらいました。
 なお、江上さんは元小学館「ビックコミックスピリッツ」副編集長で、私も中学高校時代に全巻買い揃えた「コージ苑」「サルでも描けるマンガ教室」などを担当され、さらに「鉄子の旅」にはテツ編集長として登場されている方でした。私も一ファンとして鉄道とマンガの話を伺いつつ、出雲坂根駅のスイッチバックジオラマと、実際の鉄道景色、そして展示物であるマンガ立ち読みであっという間に半日が過ぎました。
 その後、バスで出雲坂根駅に戻り、実際にスイッチバックを乗り通して備後落合駅で乗り換え。3方向から線路が集まりますが、現在は全路線が1日3本のみという日本一閑散としたターミナルになっています。日中唯一の乗換便で芸備線に乗り三次駅へ。前回この区間は急行「ちどり」で直通した路線です。前回三次では乗換待ちの間酒蔵を見学し、15歳ながら利き酒をさせていただいた記憶があります。大人になり、改めて訪問しようと観光案内所で聞いたところ、数年前に廃業されたとのことでした。
 三次駅からは福塩線で府中駅まで。ここまでがJR西日本が問題提起する「超閑散区間」です。前回は二駅手前の中畑駅そばにある叔父宅に泊りましたが、翌日旅の疲れか発熱して一週間寝込むこととなり、旅行は打切りとなりました。回復後少し年下の従弟とサッカーなどで遊んだ絆で、親戚付き合いは継続しています。
 今回は、同地の大手機械メーカーに就職した幼馴染みの安倍俊太郎さんを訪ねました。小中学校の同級生で実家も近所同士。中学卒業時の「周遊券一人旅」も同時に行い、安倍さんは北陸を旅行しました。高校入学からは疎遠になりましたが、「ママ友つながり」で動静は耳に入ります。お互い当時に戻り、昔話に花が咲きました。
45年来の幼馴染 安倍俊太郎さんと

45年来の幼馴染 安倍俊太郎さんと


今回の行程 ©googleマップ

今回の行程 ©googleマップ


次回に続く