ご案内の通り、当社は決算日を5月末日に変更しました。これまでの決算日は2月末日でしたが、最繁忙期の3月を間近に控えて「それどころじゃない」雰囲気でした。他方、ゴールデンウィーク明けは例年一番の閑散期。以前はゴールデンウィークにATM工事が集中することもあったそうですが、ATMも現在は年中無休。3月激務の疲れを取るべく休暇を取得したり、5月最終日曜実施の工事担任者試験に向けて勉強したり、せめてこの時期は自分のために時間を使ってもらおうと働き方改革を促しています。
一方、6月開始の新年度にむけて、これまでできなかったことも行おうと準備を進めてきました。その一つが「工事別原価管理」です。
当社はこれまで指定工期、金額で特殊工事を特定顧客から請け負っていたこともあり、採算管理については現場レベルまで落とし込んではいませんでした。それ以前に、父のポリシーとして「いいから手を動かせ、腕を磨け」と言われていた工事担当者は、これまで考える機会もなかったようです。4年前に私が入社した時、まるで中小企業診断士の財務事例問題(二次試験Ⅳ)に出てきそうな話が実家で繰り広げられていることに妙に納得したことを思い出します。これに対し、私は入社後早い段階で市販の原価管理ソフトを導入し、テスト運用を開始。試行錯誤を経て現場別原価が算出されるようになりました。
そしていよいよ今年度から活用段階に入りますが、ここから先は現場責任者との目線合わせが必要です。指標についての理解と目標設定、その達成に向けての権限と責任の付与など、現場で考えることも増大します。また、将来的に評価指標として利用することを視野に入れると、被評価者のデータ精度に対する信頼が大前提となり、全員が認識を共有する必要があります。これらを踏まえ、本運用に向けての第1回説明会を開催しました。
と言いながら、正直誰もが眠くなる管理会計の話。この研修ために現場を全て止めることは、職人集団としての大義名分が立つのかも心配です。自分の頭の中で「もっと他にやることあるだろ!」のツッコミが入ります。そこで、他の議題や外部研修を組み合わせることで、1日全員会議を行うことにしました。昨年の足場の組立て特別教育に倣って午前中は外部会議室を借り、留守番として母、嫁を事務所に残しました。
第1部は、9時から本業の安全衛生会議。当社は長らく一社下請だったことから、元請通達の共有が安全会議の中心になっていました。これに対し、最近は各人が複数請負先と相対するようになってきましたが、元請各社で施工方針が異なり「A社で禁止されている施工方法をB社で推奨される」ようなことも発生しています。また、新築⇔既設、電力⇔通信、木造⇔鉄骨、鉄筋造など、様々なタイプの工事に対応しています。そのため、それぞれ担当する元請から受けた事故速報や、新規入場の際の注意点を通達を共有しました。このことで、施工の法令適合性やリスク管理など、より広い視野で施工管理を行う必要性を認識できるようになります。
第2部は、10時から工事別原価管理会議。朝一番で前日の日報整理を終えたデータ入力担当の営業事務パートさんもここから参加しました。予め配布した担当別の工事一覧表を配布し、この見方を説明するかたちで建設業法上の原価項目、CPV分析、労働分配率等について解説しました。現業担当者に対する計数管理の講義は中小企業診断士として少なからず経験がありますが、相手が身内となると中々上手く行きません。結果、睡眠に落ちそうな人を当てて目を覚まさせ、「自分の取り分が増える評価ルールの設定」を宿題に出して、お昼休憩に入りました。